光・無線通信やIC・RFタグといった通信システム・デバイス技術の発展に伴い、ユビキタス情報通信基盤が急速に普及し、「いつでも、どこでも」情報ネットワークシステムの利用が可能となってきました。また、ネットワークのブロードバンド化により超高精細映像や立体映像など大容量の情報を容易に流通させることができるようになります。さらに、最近ではWeb2.0に代表される新たな情報通信システムによって社会活動にも変革が及びつつあります。
しかし、「だれもが」こうした情報ネットワークシステムを自由自在に利用できるかという観点から現状を見ますと、様々な「壁」があることに気付きます。具体的には、
| @ | 言語の壁:インターネットを使えば世界中の情報にアクセスはできますが、言葉が分からないため折角の情報が有効に利用できず、また円滑にコミュニケーションを図ることもできません。 |
| A | 情報の質の壁:インターネット上には価値ある情報だけでなく、誤った情報や、場合によっては人を騙すための情報といったものが含まれ、膨大な量の情報から真に信頼でき役立つものをうまく選別することが必要です。 |
| B | 能力の壁:高機能化、多機能化によってシステムの操作が複雑になり(たとえば、携帯電話やPCの操作)、よほどの知識・経験がないと複雑化したシステムを使いこなすことができなくなっており、デジタル・デバイドが普遍化しています。 |
| C | Cyber-Realの壁:情報ネットワーク社会の重要性が増すに連れ、情報ネットワーク社会と実世界における情報の不整合が大きな問題を引き起こすこととなり、両者をリアルタイムかつシームレスに繋ぐための技術、システムの開発に対する要望が高まっています。 |
| D | 距離の壁:少子高齢者、環境問題などの社会的課題を解決するために、これまでの文字・画像を中心としたテレコミュニケーションから五感を伝送する超臨場感通信へと進展させることによって、距離の壁を乗り越えて、あたかもその場にいるかのように感じられる環境が求められてきています。 |
これらの壁は情報ネットワークシステムが発展すればするほどその存在がより顕在化することとなります。
総務省では、こうした壁を打ち破り、より人間中心のコミュニケーション環境を実現することを目指して「ユニバーサルコミュニケーション」という基本コンセプトを2005年に提唱しました。これを受けてNICTでは、2006年4月より知識創成コミュニケーション研究センター、ユニバーサルメディア研究センターを新たに設置し、ユニバーサルコミュニケーション実現に向けた研究開発を推進しております。具体的には、知識創成コミュニケーション研究センターでは、高度情報通信基盤の上に、言語や知識、能力などあらゆる差異を越えることができるコミュニケーション環境を構築するために、多言語翻訳、音声及び非言語対話、情報の信頼性評価を基にした情報分析、人に優しいコミュニケーション環境に関する研究開発を展開しています。また、ユニバーサルメディア研究センターでは、視覚・聴覚など人間の五感メカニズムの解明といった基礎研究から、3次元映像音声による超臨場感通信システムの構築まで、一貫した研究を進め、超臨場感コミュニケーション技術の研究開発を取り組んでいます。
本国際シンポジウムは、ユニバーサルコミュニケーションに係わるNICTでの研究開発状況を紹介するとともに、ユニバーサルコミュニケーション社会の実現を目指した活動を、国内、国際社会に向けて広げることを目的として開催するもので、関係各位の積極的なご参加をお願い致します。
2007年3月
ユニバーサルコミュニケーション国際シンポジウム実行委員会